「心理学」✖「聴くチカラ」で楽に生きる

人間関係がうまくいき、楽に生きていけるようになるための情報をお届けします。

主語に気をつける

こんにちは。

カウンセラーのあるくみです。

 

 

先日、ネットで「グレタ・トゥーンベリさんはどうして中年男に嫌われるか」というタイトルの記事を見ました。

グレタ・トゥーンベリさんのことはご存知だと思いますが、16歳の環境活動家で、国連でのスピーチはさまざまな反響を呼びました。

多くの賛同を得る一方で、激しく攻撃もされています。

ネットでは他にも「グレタが嫌われる理由」「なぜグレタさんは日本で嫌われる?」といったタイトルの記事が見受けられます。

 

記事の内容はさておき、ここで問いたいのはタイトルの主語です。

なぜ、「中年男はどうしてグレタ・トゥーンベリさんを嫌うのか?」ではないのでしょうか?

 

 

主語とは、述語の主体です。また主題でもあります。

つまり、「嫌われる」という述語の主体をグレタさんにすることで、主題は彼女で、彼女の側に問題があるという意味合いになります。

 

ちなみに、この記事の中で取り上げられている英紙のコラムのタイトルは「どうして中年男性はグレタさんを嫌うのか」です。

中年男性が主語になっている、ということは、主題は中年男性で、問題は中年男性の側にあるという意味合いになります。

 

 

難しい文法のことをここで言いたいわけではありません。

主語を何にするかで、意味合いが大きく変わってしまうので気をつけなければいけないということです。

このグレタさんのことは、中年男性の側に彼女を嫌う理由があるのに、恣意的にグレタさんを主語にすり替えていると思うのです。

 

 

カウンセリングでも、主語は大事にします。

 

例えば、クライアントが第三者のことを話していても、「あなたは、そのことで......〇〇なのですね」と主語をクライアントにして応答を返すことで、自分自身の問題と捉えることもできます。

また、その反対に、問題をクライアントから分離することも可能になります。

 

 

日本語は、ときに主語がなくても文章が成立してしまいます。だからこそ、その文脈の主語は何か、ということを意識することが大事になりますね。

 

 

byあるくみ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロビンソン・クルーソーのメンタル・サバイブ術③

こんにちは。

カウンセラーのあるくみです。

 

前回、前々回と「ロビンソン・クルーソー」が28年間もの間、無人島で一人で生き延びてきたメンタル・サバイブ術を紹介してきました。

https://arukumi.hatenablog.com/entry/2019/11/19/005026

https://arukumi.hatenablog.com/entry/2019/11/21/001259

今回、最も彼を支えてきた重要なメンタル・サバイブ術をお伝えします。

それは、神への信仰です。

 

信仰心はメンタル・ヘルスに役立つといわれております。

では、具体的にどんなことが、どんな風に役立つのでしょうか?

ロビンソン・クルーソーは、もともと信仰心は極めて薄い人間でした。そんな彼がどんな心境から信仰心を持ち、どんな風に変わったのか、見てみましょう。

 

 

日本人の感覚では分かりにくいのですが、キリスト教社会において信仰心が薄いというのは、不届き者扱いされてしまいます。

彼は、神をも恐れぬ船乗り仲間の中でも、"私はもっとも心ない、軽率でよこしまな人間であり、危機に際しても神を畏れなかった"と述べています。

 

彼は無人島に漂着するまでに、すでに散々な目に合ってきております。それらの際も、1人だけ助かり無人島にたどり着いた際も、神の摂理など一顧だにしていません。

 

そんな彼が初めて神へ祈りを捧げたのは、病気になったときです。

苦しみの中、"「主よ、お助け下さい。私はひどく苦しんでおります」"これが、"長い年月の間で唱えた最初の祈り"でした。

 

幸い、彼は回復することができました。

病気から回復できたのが、神への祈りのためかは分かりません。

しかし、苦しいときに神頼みをしてしまう心境は、誰でも思い当たる節があるかと思います。

 

そして、病気が癒えたことを、彼は初めて神へ感謝するのです。

 

その後、難破船から持ち出すことができた聖書を毎日朝と晩に真剣に読み始めたのでした。

 

だからといって、これで強い信仰心が確立されたというわけではありません。

 

病気から回復したが、無人島から救い出されてはいない、と思い、不満に思う。その一方、今までにたくさんあった危機から救われてきたことを思い出し、感謝をする。

この繰り返しです。

 

とある最大のピンチに直面したとき、"心の動揺が信仰心にも多大なる影響を与え"、"落ち着いて造物主に祈るという心境ではもはやなくなった"状態になってしまいます。

 

それでも"私は不平不満をいう以前に神に感謝せねばならないのだ。私はこの惨めな境遇にあってなお、神を知り、神の祝福を待ち望むことで慰めを得ている"という心境に達するのです。

 

苦しいときに、祈る。

自分が生かされている状況に感謝をする。

これがロビンソン・クルーソーを支えてきたのでした。

 

 

信仰は、現代の私たちにも支えになります。

自分には信仰心はないから......という人でも大丈夫。

 

メンタル・ヘルス的には、祈ったり、感謝するのは何に対してでもいいのです。神でなくても良いのです。

それに、日本には八百万の神を拝むというもともと信仰心に富んだ文化があります。

国家事業の大仏建立から、農村の畦道にたたずむ道祖神まで、さまざまな形で信仰し、支えられてきたわけです。

 

それに、ロビンソン・クルーソーの信仰だって、揺れ動いています。

この揺れ動くさまは、極めて人間くさく、現代の私たちにも共感できます。

 

ロビンソン・クルーソー」は不屈の精神で無人島生活を生き抜いた話のように思われていますが、もともと強い精神を持ったヒーローではありません。

ただの風来坊の困ったちゃんという印象です。

そんな彼が行ってきたことだからこそ、私たちにも役立つ術なのです。

 

 

ちなみに、あまり知られていないことですが、「ロビンソン・クルーソー」には、続編があります。彼は無事、帰還しても、新たな冒険へ旅立ってしまうのです。

この物語から得た一番の教訓は、人間はいろんな間違いを繰り返して、そのたびに後悔と懺悔をし続けるくせに、生き方を変えられない生き物なのだな、ということです。

 

 

byあるくみ

 

 

ロビンソン・クルーソーのメンタル・サバイブ術②

こんにちは。

カウンセラーのあるくみです。

 

本日は前回に引き続き、無人島で28年間生き抜いたロビンソン・クルーソーからメンタル・サバイブ術を学んでいきます。

前回は日記、特に「良い点と悪い点」を書き出すことのメリットについてお話しました。

https://arukumi.hatenablog.com/entry/2019/11/19/005026

 

本日はロビンソン・クルーソーの"動物たち"について触れたいと思います。

 

ロビンソン・クルーソーはただ1人、無人島に漂着した後、砂州に乗り上げた遭難船から物資を運び込むことができました。そして物資だけではなく、船に乗っていた1匹の犬と2匹の猫も島に連れてくることが出来たのです。

 

このことは彼にとってとても幸運なことでした。

特に犬は"愛すべき忠実な伴侶"として寿命が尽きるまで16年近く一緒に暮らしました。

さらにオウムを捕まえて、ポルと名付け、言葉を教えました。ポルは言葉を明瞭に話せるようになり、26年にもわたり一緒に暮らし、"大いに無聊を慰め" たのでした。

犬とポルと猫2匹が彼の "家族" であり、加えて子ヤギ数頭、ポル以外に2羽のオウム、海鳥数羽を飼っていました。

 

彼らはロビンソン・クルーソーの心を支えるのに役立っていました。

ペットは心の支えになるのです。金銭的、時間的余裕があれば、ぜひペットを飼ってみて下さい……というのが本日の結論の予定でした。

 

しかし、こうしてロビンソン・クルーソーと動物たちとの関わりを読み返してみると、ひしひしと彼の孤独感が伝わってきます。

彼は心の底から人との関わりを求めていたのです。

人と言葉を交わしたかったのです。

 

犬には、"忠実に仕えてくれた" と感謝の気持ちが読み取れますが、"犬を人間の友人代わりにしようとも思わなかったが、ただこの犬が私に話しかけてくれたらとは思った"と記しています。

何より、名前を付けていません。

もしかしたら、名前があったのかも知れませんが、彼の記録にはありません。

名前があるのは、流暢に言葉を話すオウムのポルだけなのです。

しかも、すったもんだの末、帰国できるようになったら、どうやらポルは置いていってしまったようです。

 

人間との関わりが出来始めた途端、動物に関する記載が一気に無くなってしまい、私としては疑問点もあるのですが、問いただす術もありません。

 

やはり、人間と言葉を交わせる喜びが勝ってしまったのですね。

 

本日の結論は、人と言葉を交わすことはメンタルにとても良いので、関わりを持ち続けましょう。それが叶わないときにはオウムに言葉を教えましょう。

ただし、オウムは長生きです。

"哀れなポルは今も生きていて、「哀れなロビンソン・クルーソー」と鳴き続けているかもしれない" なんてロビンソン・クルーソーみたいな無責任なことはなさらないように。

 

byあるくみ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロビンソン・クルーソーのメンタル・サバイブ術①

こんにちは。

カウンセラーのあるくみです。

 

読書の秋だから、というわけではありませんが、何か気楽に読めて面白い冒険物語を読みたくなり、「ロビンソン・クルーソー」を手に取りました。

遭難して28年間も1人で無人島で生き抜いたという有名なお話ですね。でも、私はきちんと読んだことがありませんでした。

さまざまな困難を創意工夫と知恵で切り抜けた、さぞかし面白いストーリーだろう、と思っていたのですが、思いがけず精神性が深い小説でもありました。

考えてみれば28年間の孤独と逆境を生き抜くにはメンタルは非常に重要です。

本日はロビンソン・クルーソーがどうやって精神性を保ったのか、そのメンタル・サバイブ術をご紹介します。

 

ロビンソン・クルーソーは次の3つによって精神を保っていたと思われます。

1、日記

2、動物たち

3、神への信仰

 

1、日記

日記をつけることはメンタルの安定に役立ちます。

ロビンソン・クルーソーは幸運にも遭難した船からいくばくかの物資を持ち出すことが出来ました。

その中にはペンとインクと紙がありました。

そこでインクが無くなるまで大事にさまざまなことを書き写したり、文章に綴ったりしていました。文章を綴ることで"毎日同じことを考えて悶々としている状態から開放"され、"理性が絶望を抑えつけるようになると、自分自身を励ます気持ちも生まれてきた"のです。

中でも「良い点と悪い点」を書き出している所は非常に興味深いので一部引用してみます。

"悪い点

・私は無人島に流され、救出されるいかなる希望もない。

良い点

・しかし、私は生きている。仲間たちのようで海で溺れ死ぬことはなかった。

 

悪い点

・私は他の人間たちから切り離され、社会から追放された隠者同様である。

良い点

・しかし、食べるもののない不毛の土地にもかかわらず、私は餓死していない。

 

悪い点

・私には身につける衣服もない。

良い点

・しかし、ここは熱帯なので衣服はさして必要ではない。"

 

この「しかし」という逆説の接続詞がポイントなのですね。こんなことが悪い、と事実を書き、「しかし」、と繋いで良い点を探して書いていく。

非常に使えるテクニックです。

 

彼はこうも綴っています。

"この表を眺めてみると、完全に惨めな境遇というものはこの世にないということがよくわかる。どんな境遇にも悪い面だけでなく、神に感謝すべき良い面があるのだ"

無人島に漂着して、こう思うことができるのは、さすがに凄いと思います。

 

続きは明日以降に。

 

 

 

 

増税で鬱々としている気分を変える方法

こんにちは。

カウンセラーのあるくみです。

 

ついに消費税が10%の大台に乗りましたね。

もー、憂鬱で仕方ないです。

また、軽減税率やポイント還元の導入も始まり、混乱もしています。徹夜で準備に追われた方、本当にお疲れ様です。

 

私は消費税が上がるのが憂鬱で、何回も言っちゃいますが憂鬱で、この気分をなんとかしようと久しぶりに認知行動療法の7つのコラム法に挑戦しました。

 

これは「自動思考」という瞬間的に出てくる考え方の癖を見直し、適切な考え方に改めることで、気持ちや行動、身体症状を変えていく方法です。

 

最初はカウンセラーに手伝ってもらいながら行いますが、慣れれば自分ひとりでできます。

今回の私のコラム法を公開しますので、同じように増税で気持ちが落ち込んでいる方、試してみて下さい。

 

コラム法の手順は、

1、遭遇した<出来事・状況>を書き出す

2、そのときの<気持ち>を書き出す

3、<自動思考>を書き出す

4、自動思考を裏付ける<根拠>となる事実を書き出す

5、自動思考と反対の事実を書いて<反証>する

6、あらたな<適応的思考>を考えて書き出す

7、その結果の<今の気持ち>を書く

以上です。では、やってみましょう。

 

 

1、<出来事・状況>

消費税が上がり、出費が増える。

2、<気持ち>

憂鬱70%、悲しみ60%、厭世的気分50%、お金持ちへの嫉妬40%、政治家・官僚への怒り40%

3、<自動思考>

もう服を買ったり、外食したり、贅沢はできない。

薬も軽減税率対象外で、病気にもなれない。

許されるのは食べることだけ、嫌な世の中。

もうなるべくお金を使わない。いいなぁ、心配なくお金が使える人は。

ポイント還元とか、かえって税金の無駄遣いじゃない?

こんなことして、景気が落ち込むよ、政治家も官僚も馬鹿じゃない?

4、<根拠>

消費税という策は低所得でも収入がなくても払わなければならず、貧乏な人ほど負担が大きい。

法人の所得は上がっているのに、法人税は引き下げてきた。

初の軽減税率・ポイント還元が複雑で混乱のもと。

前回の増税後、買い控えで消費が落ちた。

5、<反証>

消費税は脱税がしにくく、公平といえる。

社会保障の財源にあてられるのなら、自分も恩恵を受ける。

6、<適応的思考>

使えるお金は減るけれども、服も買えるし、外食もできる。

薬も軽減税率対象外だけれども、日本は皆保険制度で病院にかかりやすい。

食料品はとりあえず今までと同じ。税金で恩恵を受けていることもある。

お金持ちにはどんどん消費して納税してもらおう。

そのうち慣れて混乱も収まる。

7、<今の気持ち>

憂鬱40%、悲しみ30%、厭世的気分20%、お金持ちへの嫉妬15%、政治家・官僚への怒り40%

 

うーん、一部変化がない思考や気持ちもありますが、少し気分が上がってきました。

 

注意点は、4、<根拠>と、5、<反証>は、自分の考えではなく、事実のみを書くようにすることです。また、すぐに<適応的思考>が考え出せるのなら、この作業を省いて結構です。

<適応的思考>を考え出すには、いかに頭を柔らかくするかがポイント。

友人に起きたことだったら何と言ってあげるか、また友人だったら何と言ってくれるだろうか、と考えるのも良い方法です。

 

 

それにしても、自動思考を書き出している際、ネガティブなヤツだな、と自分で笑ってしまいました。

 

同じく増税で憂鬱、と感じているあなたも、あるくみの自動思考や気持ちとはきっと違うことでしょう。

 

それは自動思考を生み出す、もっと強固な思い込みや価値観、信念という「スキーマ」と呼ばれるものが深いところにあり、人それぞれ違うからです。

 

自動思考があまりにも歪んでいる場合には、どんなスキーマが存在しているか考える必要があります。

 

私もスキーマの特定に挑戦しないと、と思いますが、本日は消費税対策のみにしておきます。

それでは、また。

 

byあるくみ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嘘の中に真実を混ぜると信ぴょう性が増す

こんにちは。

カウンセラーのあるくみです。

 

先日、youtubeで、あるTVのバラエティ番組の動画を見ておりました。深夜に終電を逃した人に、自宅までのタクシー代を出すから家までついていって、いいですか? という番組です。

しかし、取材させてくれた女の子が、のっけから出会い系サイトの話をするやら、自宅にはアダルト・グッズがいっぱいあるやら、なんだか変......。

お気づきかも知れませんが、例の番組をパロディ化したアダルト・ビデオの冒頭部でした。

 

よくできたパロディで、コメント欄には、TV番組だと思っている人が多数、書き込みをしており、「AVだよ」と指摘をされていました。私もそれで気づいたわけです。

 

変、と思いつつ、見続けてしまったのは、それなりにリアリティが感じられたためでした。

きっと本当のことを語っている部分がある、と思いました。

嘘の中に、一片の真実を混ぜると信ぴょう性が増すといいます。

 

特に信ぴょう性が感じられたのは仕事の話。

看護師で、SCU(脳卒中ケアユニット)で働いていること、重病患者が多くて仕事がきつく辞めていく人が多いこと、SCUに来たばかりのとき、患者さんの急変時に何もできなくて、それから勉強の頻度を増やしていること......そういったことを勉強ノートを見せながら話しているところは、とてもリアリティがあり、アダルト・ビデオの1シーンとは思えませんでした。

 

あとでその女優さんのプロフィールを見たら、元看護師でした。

やっぱり、本当の話を混ぜ込んでいるんですね。

 

 

あと、リアリティが感じられたのは、子供時代の話。

母親から虐待を受けていた......というエピソードの数々。

とても演技には思えなかったのだけれども......。

そこは、本当の話じゃなければいいな、と思いました。

 

 

念の為、youtubeにアップされていたのは冒頭部だけ、ということを強調しておきます。

 

byあるくみ