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アマゾンのレビューから見える「準拠枠」というフィルター

こんにちは。

カウンセラーのあるくみです。

 

外出禁止の連休中、アマゾンプライムビデオには大変お世話になりました。面白い海外ドラマ、映画、アニメ......たくさん見ることができ、楽しくステイホームできました。

 

中でも面白かったのは『カメラを止めるな』という映画です。

といっても、今日お話したいのは映画の内容ではありません。カスタマーレビューのことです。

 

そのレビューをじっくり読んで思ったことがあります。

それは、人は自分の思い込みを通して物事を見るということ。

そしてその思い込みというフィルターに気づかないものだということです。

 

 

『カメラを止めるな』は低予算で作られたインディーズ映画でありながら、クチコミで大ヒットした映画です。私の事前知識は、ゾンビ映画を撮影中、本物のゾンビが出てきたがそのままカメラを止めず撮影する話という程度でした。

アマゾンでのレビューは星5つ評価で、3.5。

5つ評価が41%。

1つ評価が20%。

評価が割れて、思いがけず低評価が目につきました。

 

でも評価が割れていることは、どうでもいいです。

そのレビューの内容です。低評価のレビューには「自分は嫌いだけれど、○○のような人には受けている」と批評しているものが多くありました。

その「○○のような人」について、コメントがさまざまで、相反する意見も多いのです。例えば、

・映画通ぶった年寄りは大絶賛

・近年の価値観についていけず......自分は老害になったのか

前者はきっと若い人のコメントですね。そして後者は高齢者でしょう。それぞれが、異なる年齢層をこの映画を好きな層だと推察しています。

 

また、

・年に100本映画見るような人は評価が違うのかな

・年に300本映画見ているけれど、今までで一番つまらない映画

・映画を見ないライト層に受けている

評価しているのは、映画を見る層と映画を見ない層、両方の推測があります。

 

さらに、

ゾンビ映画好きからすれば、こんなものゾンビ映画ではない

ゾンビ映画見ないけれど、見る人は好きなのかな

と、ゾンビ映画好きかどうかでも、互いに違う意見が出ています。

 

他、

・映画に対する侮辱、現場を知らない人が作ったありえない設定

・映像関係者に受ける映画、ただの内輪受け

といった業界の内外の違いもありました。

 

 

事実はどうなのでしょうか?

 

結論から言えば、どの意見もアリ、です。

 

高評価をつけているレビューを見れば、

・中年~高齢と思われる人

・若いと思われる人

・映画大好きな人

・映画よりバラエティなどの方が好きな人

ゾンビ映画ではないが面白いという人

ゾンビ映画に対するオマージュを感じるという人

・実際には起こらないだろうけど、これはこれで楽しめたという人

・業界関係、学生時代に映画を撮ったというような経験者

いろんな人たちが面白いとレビューを寄せています。

 

 

実際にはいろんな人たちがこの映画を好きと言っているのに、なぜ「この映画が好きな人は○○のような人」と決めつけて言ってしまうのでしょうか。

 

それは、それぞれの人たちがまっさらな状態で物事をみているわけではなく、「準拠枠」という独自の判断基準を通して見ているからです。

準拠枠は、自分の得てきた知識、経験則、感情、価値観といったもので出来上がった枠組みで、それがないといろいろなことがすぐに判断できず、不便です。

だから、瞬時にその準拠枠で「こういう人はこんな人」と判断するのは自然なことです。

ただし、その準拠枠とは人によって異なるもの。客観的な基準ではありません。その独自のフィルターで判断しているので、意見が異なるのは当然です。

自分がフィルターを通していることを意識せず、あたかも正しい意見であるかのように思っているのは危険です。

  

日頃、自分がどんな準拠枠を持っているのかゆっくり自省する機会はなかなかないと思います。

極端な準拠枠に気づかないと偏見を産み、それこそ的外れなレビューをしてしまうことにもなります。

 

深く物事を考察するときには、準拠枠を外して違う考え方を取り入れるということが大事です。

 

 

私はレビューを読んで、この映画の最初の37分間がノンストップのワンカット撮影であることを知りました。そのことに気づかず、ぼーっと見ていたので、もう一度、見てみようと思います。

そのワンカット撮影にも、「すごい」という意見と「大したことない」という意見がせめぎ合っているんですけどね。

 

 

byあるくみ