産業カウンセラーの資格って、どうよ?
こんにちは。カウンセラーのあるくみです。
先日、某転職コンサル系のYoutuberさんの動画で、『転職に役立たない人気資格3選』の中に、産業カウンセラーの資格が入っておりました。
産業カウンセラーの資格を持つ身としては複雑です。
確かに転職しやすい資格かというと、そうは言い難いと思いますが......
では産業カウンセラーの資格って無駄なの?
というところを産業カウンセラーの端くれとして、自分の経験を元に、語ってみたいと思います。
産業カウンセラーって?
そもそも産業カウンセラーって何でしょうか?
それは働く人や組織といった産業分野での活動をするカウンセラーで、日本産業カウンセラー協会という団体の民間資格の呼称です。
6ヶ月または10ヶ月の養成講座で受験できる「産業カウンセラー」と、上級資格である「シニア産業カウンセラー」の2つの資格があります。
企業などと契約し、組織や社員のメンタルヘルスのため、カウンセリングや研修など行います。
産業カウンセラーの資格で仕事できるの?
たった6ヶ月~10ヶ月の養成講座でその後の試験に合格すれば得られる「産業カウンセラー」の資格。
これで即、仕事が得られるかというと、なかなか難しいものがあります。
カウンセラーなどの心理職自体、求人が多いわけではなく、あっても非正規雇用が多く、臨床心理士や公認心理師の資格が求められる場合も多いです。産業カウンセラーの資格での求人はありますが、経験が求められたり、上級資格のシニアのみと指定されている場合もあります。
もちろん産業カウンセラーの資格で心理相談のお仕事を根気強く探して、その職についている方もいます。でも正社員というのは少ないと思います。
産業カウンセラー協会で行っている電話相談や対面相談、研修事業などのお仕事に就くためには、さらなる登録カウンセラーとしての研修や試験が課されます。
それらに合格して、インターンを経て、やっと業務に就くことができます、フルタイムではありませんが。
実は私も別に仕事をして、月に数回、協会のお仕事をしている状態です。
産業カウンセラーを本業として仕事をしていくには、良い就職先を探すか、独立してお仕事を自分で取ってくることが必要でしょう。
心理職以外の仕事において、産業カウンセラーの資格が有利に働く場合もないわけではないですが、絶対に必要な資格ではないので、転職のためにわざわざとる資格ではないと思います。
では産業カウンセラーの資格のメリットとは?
資格そのものはコンサル業など、すでに相談業を生業としている方が何か資格がほしいという場合にはあった方がいいでしょう。仕事の幅を広げるためにとる、産業分野で仕事をしたいと思った方がとりに来る場合もあります。
資格というよりも養成講座での学びは、会社員であれば人事関係や管理職として社内のメンタルヘルスの支援に活かせます。会社からの指示で受講しにきている人もいます。
人事担当や管理職の方以外でも、看護職や介護職など人を支援する職業の方が、傾聴の必要性を感じて自ら受講しにきている人たちがたくさんいます。
もちろん動機や目的はさまざま。心理学やカウンセリングを学びたい、その第1歩という方もいます。私もその口です。
産業カウンセラーの養成講座の良い点の1つは、学歴を問わず、門戸が広いことだと思います。
その他、良いと思うことを上げていきます。
- 実技が多いこと。大学や大学院では講義や研究が主となり、傾聴訓練はあまり、ないのではないでしょうか?
- 組織が大きいこと。全国規模で各地に支部があり、引っ越ししても活動を続けることができます。
- 養成講座以外の各心理学等の初級講座が行われており、他で受けるよりお得な料金で受講できます。そのために産業カウンセラーでもないのに年会費を払って賛助会員になる人もいます。
で、結局、産業カウンセラーってどうよ?
産業カウンセラーと名乗るためにはお金を払って養成講座を受け、お金を払って受験し、お金を払って登録し、年会費を払い続けなければいけません。更新制度ですので、更新に必要な学びのため、お金を払わなければいけません。
資格って、そういうものです。
ですので、むやみやたらに資格をとることをお勧めはしません。よく言う「資格貧乏」になってしまいますから。
この資格だけで簡単に仕事が得られたり、高給を得られたりはできないとお分かりになったと思います。その点ではコストパフォーマンスは悪いと言えます。
でも、産業カウンセラーの養成講座は素晴らしいと思っています。ここで学んだことは人生全般に活用できます。人生のトータルクオリティを上げられることを考えたらコスパは悪くないと思います。
あと、『資格ビジネス』といわれるのは、ちょっと悲しい......いや、確かに、数行前に「お金かかる」って主張しておりますが。
先人たちは、高度成長期に働く人たちを支えるために必死で活動してきました。今でも、その理念のもと、支援業務が行われていて、そういった点は尊敬しております。
以上、産業カウンセラーと名乗るのもおこがましい程の末端からの所感でした。
byあるくみ